2つ目の抹茶のパウンドケーキもオーブンに入れた時に、1つ目のココアパウンドが入ったオーブンが鳴った。
「未桜、手が離せないからミトンをしてパウンドケーキを取り出して。
型から出したら、粗熱を取るケーキクーラーの上に載せとけ」
「分かった!」
あたしは言われたとおり、ミトンをしてオーブンの方に向かった。
オーブンを開けると熱気がぶわっときて、それと同時に美味しそうなココアのいい香りが漂ってきた。
「美味しそうにできてる……」
「焦げたりしてないか?」
「うん!完璧だよ」
熱いから気を付けろよと言う翔斗の言葉を聞きながら、そっとケーキの型を両手に持った。
だけどその瞬間、自分の手が思うように動かなくなった。

