「これより一組目の第1試合目を始めます。
制限時間は3時間。テーマは家族、そしてお題のケーキはパウンドケーキです。
では、始め!」
学園長先生の言葉で一斉に作業が始まった。
作業の音がいろんな所から聞こえてくる。
周りを見るとどっちが分身だか分からないくらいのところもある。
調理室の外では参加しない生徒たちが窓にへばりついて見ていて、歓声を上げていて。
「未桜、さっき言ったとおりな!」
「はいっ!」
あたしは部屋で話し合ったことを思い出しながら手を動かし始めた。
まずは4つのケーキの型に薄くバターを塗って、強力粉をはたく。
そして余分な粉を落とすと冷蔵庫の中にしまって。
その後は量りの目盛りを見て間違いがないか細心の注意を払って1つずつ材料を量っていく。
横を見ると翔斗は常温に戻したバターをボウルに入れて混ぜ始めていた。

