「分かったか?」



とズイっとたたでさえ近いのに近づいてきた翔斗に、あたしは離れてもらうためにコクンコクンと何度もうなずいた。



もうやめて。



こんなに鼓動が速くなったら、あたし本当に死んじゃう。



すると、翔斗は頷いたあたしから手を放してくれてポケットから何かを取り出すとあたしにそれを向けてきた。



いったい今度は何をされるの?



それはもしかして杖?



「……俺の気持ちはまだおまえは知らなくていい」



切ない表情であたしを見つめてくる翔斗。



どういうこと?



ねぇ、翔斗!!待って!あたしに魔法をかけないで!!



「“ウブリ エテルニテ”」



だけど、あたしの心の願いは届くことなく、翔斗はあたしに今のことを強制的に忘れさせる忘却の魔法をかけた。