「いや、それでも俺は一人で戦えるけど……。



でも、前にも言っただろ。未桜に期待してるのは技術面じゃないって。



そんなことより、気にしてほしいのはそっちじゃねぇ」



抱き締められていた腕がゆっくり放されて、少し距離を取ろうとしたあたしを見越した翔斗は



片手であたしの顎を掴んでクイっと翔斗の方に向かされた。



近っ!近いよ!



なんだか真っ暗なのに翔斗と目が合ってる気がする。



一気にさっきよりももっともっと速く鼓動が高鳴る。なんか鼓動が速すぎて死んでしまいそう……。



「覚えとけ。俺が嫉妬深いことを。



勝手に飛び出して油断なんかしてんじゃねぇ」



―ドキン



と一度だけ大きく心臓が高鳴った。