翔斗に逃げ出したことを許してもらいたい。 あたしの本気、必死さをこのホイップクリームで伝えたい。 あたしに教えてくれた時間を無駄だって思って欲しくない。 絶対に、絶対にホイップクリームをマスターしたい。 そう思いながら一心にミキサーを回し続けた。 そして集中して周りが見えなくなってきた時、あたしの電動ミキサーを掴む右手の上に尚くんの手が載ってきた。 気付けば尚くんもあたしの真後ろにいて……。 「え……」 ―ドキッ なんで、なんで尚くんがこんな近くにいるの?