「下手くそ。もうチョコペンの練習はもういい。そのミミズみたいな字、来週までにどうにかしておけ。
…来たな」
本物の?翔斗はククっと手で口を隠しながら笑っている。
「ちょっと!なんでいきなり笑ってるの?不気味だよ?」
あたしが顔を覗き込みながら言うと、翔斗は笑うのをやめた。
「勝手に言っとけ。よし!復習からやるぞ。
まず、チョコレートの湯煎温度は?」
「50~55℃!」
あたしは自信持って答えた。これは失敗して覚えたことだから絶対に忘れない。
もう次からはあたしにだってチョコレートを溶かすことくらいできる。
「ホワイトチョコレートは?」
いきなりもう片方の翔斗に振られた。
え、チョコレートってどれも湯煎温度は同じ温度じゃないの?
あー!これはもしかしてあたしのことバカにするための引っ掛けか♪
その手には乗らないんだからね!
「チョコレートはみんな50~55℃!」
「「ふざけんな!ホワイトチョコレートは40~45℃!」」
両方から同じ答えを言われて、あたしは思わず両手で耳をふさいだ。