「………」
「ちょっと!ねーってば!」
声を掛けたその時、ルイくんの言葉を思い出した。
『翔斗ってさ、一旦作り始めたら周りが何も見えなくなるくらい集中できるんだって』
そうだった。だから反応してくれないんだ。
じゃあ、あたしも勝手に今日の復習やってから寝よう。
あたしは泡立て器に手を掛けた。
そして同時に思い出したことがあった。
ここに来たの昨日なのに、もう向こうのみんなのことを考えなくなった自分がいた。
もしかしたら翔斗は帰りたいと思って泣いたり、悩んだりするあたしのためにアシスタントにしてくれたのかなってちょっと思った。
「よし!メレンゲの練習!」
午前1時すぎ。あたしの特訓が終わって、今度は自主練が始まった。

