「ただいま。」


学校から10分程の所に私の家はある。


小さなアパートの二階。それが私の家。


ただいまと言っても、誰も返事をしてくれないのが私の家。


「アンタ、帰ってきたの…」


あからさまに嫌そうな顔をして私を見てくるのが母親。


「………」


一言も口を利かずにテレビを見ているのが母親の彼氏。


生まれたときから父親なんていなくて、毎年のように、違う男が来る。


二個前の彼氏は良かったけど、今回のは最悪だ。


「ねぇ、ちょっとそこ退いてくんない?」


「は?お前、誰に向かって口利いてんだよ!」


いきなり怒鳴ってくる。


「勉強したいんだよ。退けっての。」