「千音、もう大丈夫?早く行きなよ。」


私の腕を軽く掴んで、立たせる。


「先生、ありがとうございました。」


わざと棒読みで言ってやった。


「先生、千音が迷惑かけました!すいません!」


頭をぶんぶん降って謝る優。


「いいよ。困った時はいつでもおいで。待ってるから。」


爽やかな笑顔でそんな事言ったら、女の子皆先生の虜になっちゃうよ…。


(でも、先生優しかったな…)


この部屋から出るのがもったいないくらい。


「先生、失礼しました~」


「失礼しました!」


「先生!」


私だけが先生を呼ぶ。


「どうした?千音?」


先生のびっくりした顔は、可愛かった。


「先生の名前…何ですか?」


入ってから一度も名前、聞いてなかった。


「月丘光希(つきおかこうき)だよ。」