上を見上げる。

私を窓から見下ろす白は「上出来だ。」と一言。


(……褒められた…)


誰の助けも借りずに妖怪を助ける事が出来た。

白が、笑ってる…。

小さく微笑むその笑顔をこんなにもじっくりと見たのは初めてで。


「何か、最近の白様は雰囲気が柔らかくなったよね。」


私だけに聞こえる声で耳打ちするヤタガラスさんは何かを知っているのだろうか。


彼の言う通り、最近の白は何だかいつもと違う。

冷たい表情や口調は相変わらずだけど、まとっている雰囲気が優しい感じがするんだ。


それに今日の事だって。

急に優しくされると心臓が持たない。


「そろそろ我慢の限界なのかもねぇ…。」


独り言のように呟く彼はやはり何かを知っているようだった。


「限界って、何がですか?」

「あぁ、こっちの話だよ。」


教えてくれないほど、それは重要で知られてはいけないような内容なのだろうか。


ヤタガラスさんの考えていることは分かるようで分からない。