外から聞こえる、ドスドスと地面を踏みつける大きな音。

あの化け物が暴れだした?

私を飲み込んで、よけいに力が増すあの化け物はかなりのスピードで暴れている様子だった。


その証拠に、動くたびに私は激しい振動に襲われる。


「雪。」


心から聞こえてくる、白のあの綺麗な声。

雫が落ちる音と共に聞こえた声。


「死んでくれるなよ。」


心で会話をするのは初めてだ。
声に焦りがないと言う事は、今の白はかなり冷静だ。


「俺の了承も得ずに死ぬ事は許さないぞ。」


胸がドクリとした。甘い音が響く。
白が私の事を好きかどうかは分からないけど、気に入られていると言う事だけははっきりした。


(白も私の事好きだったら良いな…)


のんきにそんな事を考えていると、大きな振動が私を襲った。


犬の化け物は、どんどん力を増しているようで。

だけどその反面、苦しんでもいた。

負の感情が自身の心臓を強く圧迫しているせいで、こんなにも悶え苦しむ。