何で、遊んでくれないの?
お散歩には行かないの?
ご飯は?毎日くれてたのに。
お風呂だって、大好きだったのに。


――『要らない何て言わないで。』


これは、あの犬の化け物の声?
とても悲しい声だ。泣いていた。


――『嫌いだなんて言わないで。』


飼い主が自分を見てくれない事が傷付いた。愛情が欲しかった。


――『お願いだから、僕を捨てないで。』


泣き叫ぶ声は、うるさいくらいに暗闇に響く。

味わった悲しみは、いつしか怒りへと変わり、そして憎しみに変わった。


この子が過去に経験した心の痛みが全身を通じて伝わってくる。

あなたは、愛情が欲しかった。
誰かに愛されたかった。

“必要”とされたかった。


何よりも、人間が大好きだった。


人間は、どこまで残酷で愚かな生き物なのだろう。

一時の感情だけで、簡単に最低な事が出来てしまう。