「良いか、雪。
お前の持っている水の力は特別だ。闇の妖怪にとって、お前の力は自身のエネルギーとなる。
その毛玉がお前から離れないのは、言わばお食事中だ。」
お食事って…、
「本来の姿に戻るために、お前の水の力を借りている。
見てみろ、もうじき本性を現すぞ。」
そう言った白が見た毛玉くんは、先程よりも何だか大きい気がする。
顔も何か怖い。
(目が…3つある…、)
白の忠告をやっと理解出来た瞬間、黒い煙と共に現れたのは大きな犬の化け物。
3つある目に大きな角。
呼吸をするたびに放たれる煙は凄い毒気を感じさせた。
「あれが奴の姿だ。
お前の水の力がどこまで強力か、今更自覚したか。」
ため息をもらしながら、立ち上がる白は怖いと感じている様子は全くない。
大きな遠吠えが聞こえた瞬間、私の視界は真っ暗になった。
何が起きたのかさっぱり分からない。
暗闇の中から聞こえる子供の声。
人間の、声。
(もしかして、飲み込まれた?)



