あれ、泣いてない。私、いつもの夢を見ていたはずなのに。


誰もいない広々とした昔ながらの屋敷には私だけが住んでいる。


親も姉も兄もいない。叔父さんも、叔母さんも、祖母も、祖父も……、


いないと言うより、死んだ。


私が小学3年生の時に妖怪に食べられてしまった。


やることをちゃっちゃと済ませ、登校する私。

近くのお墓、私の家族のお墓に毎日お参りするのが日課だ。

お墓と言っても、皆が想像するようなあんな立派なお墓じゃない。

土も山のように盛り上げたそんな墓だ。

中には、家族の骨が埋まっているわけでもなく空っぽな盛り上げた土だけの寂しいお墓。