部屋に戻ると白が戻っていた。

後ろ姿を見ただけで、こんなにドキドキする。


「びゃく!!」


私をチラリと見た彼はいつもの淡々とした口調で言った。


「お前、力を使っただろ。」

「あ。」


え、何でバレちゃうんだろう。
小鬼くんの傷治しただけなのに。

そんな大きな力は使ってないのに。


ため息をもらした白は持っていた書物に視線を戻した。


本当に、窓に寄りかかるのが好きだよね。


「あ、あのね!梅酒とか梅干しとかたっくさん漬けてきたんだよ!」


「ほら!」と風呂敷で包んである小瓶を白に見せる。


「礼を言う、棚にしまっておけ。」


(冷たいなぁ…、)


想像してた反応と違うから、何かちょっと傷付いた…。

食べてくれると思ったのに、しまっておけって言われる何て…。


「白、一緒にお花見に行こう?」


もしかしたら、力を使ってしまった事を怒っているのかも知れない。

行ってくれないのかな…。


「一人で行ってこい。」


そうですよね。


「遠くへ離れてくれるなよ。匂いが薄まる。」


「…うん。」


一緒にいってほしかったなぁ~…。
今さら傷付いてどうするの、白はもともとあんな感じじゃん。


行ってきますも言わずに私は外へ出た。