魂はしっかりあるのに、感覚はまるで脱け殻のよう。 意識がボーッとする私の耳に聞こえて来たものは、砂利を踏むような、下駄が地面と擦れるような音。 (誰か…、来る…) 感じる、強力な水の力と香り。 白だと思った。 助けに来てくれたのかな。 今の私は黒狐の命令で白に何をするか分からない。 嬉しいけど、どこか複雑な気分。 「待たせたな、黒狐。」 「遅いよ白。もう雪ちゃんはお前の所には戻らないよ。俺のお人形だもん。」 それを聞いて、クスリと笑った白の目はどこか黒狐を見下しているようだった。