辺りはだんだんと暗くなりつつあり、少し肌寒い風が吹きはじめていた。 (夜がくる…、) こんなに待っていても、白は私を迎えに来ない。 やはり私は見捨てられてしまったのか。 瞬間に浮かぶ、黒狐に捕まってしまうかもしれない恐怖。 黒狐に捕まるのも時間の問題かもしれない。 「あれ、顔に何か付いてんぞ。」 身を乗り出して私の顔に触れる朝霧さんの手はやはり温かい。