逃げ出すよりも先に、まずは羽織りの持ち主を探さなきゃいけない。 持ち主にとって、大切な物かもしれないし。 窓は開いていたから、運悪く飛んできて私にかかったのかも知れないしね。 屋敷からバレないようにそっと逃げ出した私は、まず羽織りの持ち主を探す。 羽織りを目にするたびに、あの時の白の瞳を思い出してしまう。 その度に、私の目からは堪えていた涙が地面へと落ちる。 (私のせいじゃないのに……、) 「見つからないなぁ~…、」 一人言を呟きながら、何軒かの屋敷の角を曲がったとき、