神恋～水神様に恋をした～

正直、言い返したかった。
私は知らない、この羽織りも壊れてしまった簪と櫛の事何て。


でも無理だった。
白のあの瞳に私が写る事が怖い。
見られてしまうのが、とても怖い。


「私っ…、逃げたい…っ…、」


白に2度と離れないと誓ったあの日から、逃げ出したいと思った事なんて1度もなかった。


だけど今、凄く逃げ出したい。

あの瞳は怒っていた。

私が屋敷に居ることをいつか白が拒んだら。

よけいに辛い。

悲しいじゃ収まらないかもしれない。