「雪、忘れ物だ。」
そう言われ差し出されたのはあの落ちてしまったと思っていた櫛。
屋敷の中で落としていて良かった。
無くしたと思ってたから、何だか安心した。
「あ、ありがとう…!」
大切に胸元にしまう。
(良かった~…、)
幸せな気分で2階へ上がる私をカエデちゃんが見つめていた事など私は知らない。
カエデちゃんと撫子さんの声が聞こえてくる。
白の声は聞こえないけれど、二人が楽しそうにしているという事は白もそれなりに会話に参加しているのかな。
私も行きたいけど、カエデちゃんに悪いし。
寝転がっているとだんだんと睡魔が襲い、目を開けるのが辛くなってくる。
黒ちゃんは私の隣でスヤスヤと気持ち良さそうに眠る。
それをボーッと見つめていると、眠気が移りそうな気がしてくる。
お日さまが心地良く暖かいせいで私の眠気はもう限界に達していた。
目を閉じる私はすぐに眠りへと落ちてしまう。



