撫子さんと違ってカエデちゃんは花魁言葉を使わない。 それに、百人一首だって詠まない。 「撫子さんは、どうして百人一首を詠んだりするの?」 本人に聞くのは何だか気が引けた。 だから、カエデちゃんに聞いてみる。 その答えは私の想像を反したものだった。 「お姉ちゃんは、両親が大好きでさ。 私は物心つく前に両親が亡くなってるから、親からの愛情って言うものが分からない。 お姉ちゃん曰く、お父さんが百人一首を詠むのが大好きで、お母さんが秋の季節が好きなんだって。