もう、どこにも行かなくたっていい。 夏がいればそれで。夢の中だからだろうか、やけに弱虫な自分がいた。 「……俺、夏のこと……」 『なあに?』 のどが乾いたように、声が出ない。その先の言葉が、どうしたって言えない。一番大事である言葉のはずなのに。 悔しくて、眉を寄せる。 やっと知ることが、気づくことができたのに。そんな銀也をあざ笑うかのように、空がきらりと冷たく光ったような気がした。