けれど。 「あの……っ」 扉から出ようとしたところで、芯の通った、でもどこか震えるような声に引き止められた。 声の方を向けば、 図書室のカウンター越しに、私を見つめる図書委員の女の子と視線がぶつかり合った。 目があった瞬間、女の子は視線をさ迷わせ、うつむく。 ああ、そっか。 この子はきっと、私に文句を言いたいのだ。 今、この場でひどく罵られても私は多分、何も言い返せない。 それだけのことを、私はしでかしたのだから。