それからと言うもの、私は図書室でも彼女のことを時々、目で追うようになった。


春瀬に気づかれない程度に。




そんなことどうでもいいじゃないか、とも思うけど。


それでも、気になるのだから仕方ない。




図書室での彼女はやはり、春瀬のことばかり見ていた。







………いや、訂正。






彼女は春瀬のことも見ていたけど、私のことも見ていた。






羨みの眼差しで。



恨み、ではなく、羨み。





時々、そんな彼女の視線と私の視線がぶつかるときもあった。



そんなとき。


彼女は必ず、私に向かって小さく笑顔を見せるのだ。




困ったような、悲しそうな。


本当は泣きたいのを我慢して無理矢理作ったような、崩れそうな笑顔。






私はどうしようもなくいたたまれなくなった。