三階の図書室から見える景色は、昨日のものとはまったく別物になった。






景色一面をおおうのは白。




葉も落ちすっかり寂しくなっていた桜の木の枝にも綿雪が積もっている。



窓の外の風景はとても静かで。

まるで“時間”が止まっているみたいだ。




今年度初の雪。




昨日の晩のうちに20センチ近く降り積もったのだ。








「先輩。今日は本、読んでないんですね」



そんな、笑いを含んだ声が聞こえた。




窓の外をぼんやり眺めていた私は、視線を声の主に向ける。





「春瀬か……。」



「なんでそんなに不満そうなんですか」





彼はそんなことを言いながらも、嬉しそうな笑顔で向かいの席に腰かけた。





私は別に不満な声は出したつもりじゃないんだけど。



と、思ったけど、なんだか面倒くさくて。


私は再び窓の外に視線を戻す。






「今年の初雪は随分と積もりましたよね」



「うん」