両片想い











「はぁッはぁッきつ…坂むり…っ」








いつもの場所は坂を過ぎたところにある







「あたし降りるよ」





「ごめん。じゃ、一緒に歩こう!」







「え、ありがとう」









今日はやけに優しい。
いつも優しいけど。










「おいてくぞーーーー」





「えー!待ってよー」


わたしがそう言うと怜於が







「先言ってていいよーー俺とらん後から行くからーー!」








え、なにうそ…嬉しい。









こんなこと一度もなかったのに。





二人きりとか初めてかもなあ。