君の嘘を知らなくて(仮題)









ジッとマグカップを見つめる望月くん。

中身は何の変哲もない緑茶だ。





「……ご馳走様」




ガタリと望月くんが立ち上がる。

すぐさまあたしの前に座るお姉ちゃんが反応した。




「桜太くん、具合悪い?」


「え?
いや、そういうわけじゃないよ」


「椿さん。
桜太は結構小食だから。
これでも食べた方だと思うよ」




風太さんがフォローをいれる。

…へぇ、望月くん小食なんだ。




「椿さんのご飯、美味しかったよ。
ありがとう」




にっこり笑顔でお礼を述べる望月くん。

お姉ちゃんはお酒を飲んでいないはずなのに、酔っぱらっているように頬が赤い。

風太さんと言う旦那さんが居るのに、惚れるなよ?




「……そういえば部屋は…」


「あっ!
あたし案内するよ」




あたしも正直お腹いっぱいだったので、

「ご馳走様」と立ち上がり、望月くんの前に立った。