春風が吹くなか、僕は君を見つけた。



てっきりみんながこそこそと噂話するとか、チラチラ見られるとか、話しかけられるとか、そういうものを想像していた。



まさか春馬が誰にも言ってないとか?




いやいや。



私で賭けをしていた人だ。



どこかで春馬を信じている私に気付いて、気持ち悪くなった。



人は信じてはいけないとあれほど自分に誓ったのに。




ドアの前で立ち止まっていると、



「あ、あれ北野?入らないの?」



その声で振り返る。



私に声をかける人なんて一人しかいない。