春風が吹くなか、僕は君を見つけた。



「なに?その顔。瀬戸くんが来て欲しかった?」



確かに振り返るとき、春馬だと思った。




春馬の名前にズキンと胸がいたくなった。





新城君は長い指で私の涙を拭った。




「いいよなー、瀬戸くんは。北野サンにこんな顔させちゃうもん。」




こんな顔って。




ただのブサイク泣き顔なんだけど。




そんな抗議も涙のせいで言葉にできない。





「あーもう。そんな顔で見んなって。抱き締めたくなるから.....でもそれは俺の役目じゃないもんなー.....」




新城君は私の頭をポンポンと叩いてから、「帰ろっか。」と力なく笑った。