春風が吹くなか、僕は君を見つけた。




まるで待ってましたと言わんばかりに。




「そーなんだ。あの時北野ってこの作者さん好きなんだなーって思って買ってみた。」



春馬が読んでいた本の作者は私が前に春馬が買ってくれた本の作者の本だった。




「そうなんだ。春馬って意外に本読むよね。」



今まで思っていたことを春馬に言ってみた。



さっきまでは話しかけるなオーラがすごかったから。



「ああ、うん。でも普段はあいつらが一緒にいて読めないんだけど。」



その、「あいつら」を思い出したのか、いつもとは違う感じで笑った。



友達と一緒にいるときの笑顔。



あれ?



じゃあ、私に向ける笑顔は何に向けているんだろう。