「何その顔。」

桐崎くんが、真顔で私に問いかけてくる。

「あ……。好きな人のために化粧したんですけど……間違ってました、はい。」

私が恥ずかしそうにいうと、桐崎くんは興味なさそうに「ふぅん」と言った。


うわ、これ絶対に興味ないよ。

「それで、証明できると思ってる?」


……うっ。


「………できないから」


何も言わない私に、静かにそう言い捨てると教室に向かって歩いて行く。



私は、そのまんまトイレに駆け込んだ。