私は、いつもと変わらない様子で学校に向かった。


朝は、優くんに心配されちゃったし、元気出さなきゃ。


いつも通り、電車に乗って駅で降りると桐崎くんの姿を見つける。

｢桐崎く、ん……｣

反射的に声をかけてしまい、すぐさま柱に隠れる。
桐崎くんは、立ち止まってチラッと周りを見て歩き出す。


よかった……。気付かれてない。
気付かれてない……？

私が目の前に現れなかったら、私のことなんてどうでもいいんだ……。
下を向いて立ち止まる私の背中をポンッと叩かれた。

｢仁奈、おはよっ｣

｢あ、あゆちゃん…！おはよう！｣

元気なあゆちゃんに話しかけられて、私もニコッと微笑む。


そして、2人で改札を出ると前を歩く桐崎くんの姿が見えた。



｢あれ、桐崎じゃない？
仁奈行ってきな！｣