お昼休み、教室で静かに本を読んでいるとポンッと背中を叩かれた。
「桐崎……、仁奈知らない?」
息を切らしながらそう聞いてくるのは、高野と仲が良い田中だった。
「知らないけど、なに?」
「あ、そう……。お弁当の時にジュース買ってくるって言ってから戻って来てないの……。」
不安そうな顔をしてから、俺の顔を見て少しだけ微笑んだ。
「知らないならいいや。ごめん、ありがとう。」
そのまんま、教室を出ていく田中の背中を見送ってから、本を閉じた。
別に、高野を探しに行くんじゃない。
トイレに行くんだ。
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