「新羅、すごいね。私も上手くかければいいんだけど…」 一ヶ月悩んで、美術部に来た雨璃がいた。 凛蝶は無言で雨璃を見つめている。 黒縁メガネから見える雨璃はどう写っているのか、それは俺にも知りようがなかった。 「上手くなんてない。他に上手い人がいるだろ」 褒められることが苦手だ。 褒められたっていい事なんかひとつもなかった。