月の国


部屋の中はルイスのそばにあるやはりレンガ造りの暖炉のおかげで暖かい。

ルイスの正面二メートルくらい先に木でできた机があり、明かりは暖炉の火とランプの火、そして窓から入る日光だけだ。
昼間なのに少し薄暗く感じた。


それ以外はとくに何もないため、正面の机を見て黙っておく。


すると、話を終えたショウが振り向いて、ルイスに来いと言った。

言われた通り机に近づいたルイスは、そこに肘をついて椅子に座る大人の男を見た。

やっぱりショウに似ている。
黒髪も、逞しい体つきも。

「だいたい説明したからさ。父さん、こいつがそれだよ」

ショウに紹介され、ルイスは頭を下げて礼をし「ルイスです」と言った。

顔を上げると不思議そうな男の顔が見えた。

「私はデイト。遊牧民ノマディスの長だ。

君、ルイス…は見たところ貴族…だな。どうしてこんなところに?」

低い、でも優しい声。

「…家出して、旅してるんです」

家出。

それはまだ聞いていなかったショウとミキナは驚いた顔をした。

デイトも少し目を見開く。


「家出?ルイスは何歳なんだ?」

「15歳です」

デイトの問いに短く答えた。

あまり追求しないでほしい…。


「貴族も貴族で大変なのか」

目を細めてそれだけ言ったデイト。

ルイスはホッとした。

「今日はここに泊まるといい。まぁ明後日までしか無理だが。もうすぐ移動するんでな。」

優しい笑みと声で言ったデイトに、ルイスは「ありがとうございます」とこれまた素敵な笑顔で言った。


「じゃあ、ショウ、客室に案内してやれ。」

「あ、うん」

ルイスを眺めていたショウはハッと我に返り、ミキナとルイスを連れて部屋を出た。




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