はっ、とした。


それは、ジンさんが初めて語ったラグナに対する“本心”だった。


ジンさんは、そう呟いた後
すぅ…、とゆっくり眠りについた。


俺は、ベッドに寝ているジンさんの整った顔を見つめる。



……ずるいよ。


やっと本音を聞けたと思ったら
こんなセリフなんて。


男の俺から見てもかっこいいよ。

ゼロの兄貴にも負けないぐらい。



……俺が引くしかないじゃないか。


本っ当…ずるい………。



でも、俺は“ご主人様”に忠誠を誓った犬だから。


“ラグナ”が喜ぶ一番のことをしてあげるんだ。


それが……俺にできる“最善”だから。



俺は、はぁ、と大きなため息をついて
一人、部屋を出たのだった。