…そう、決めたんだ。
彼女と出会ったその日から。
彼女の幸せのために、側にいようって。
決めたんだ。
すると、ジンは少しの沈黙の後
静かに口を開いた。
「君が“犬”なら、僕は“猫”だね。…住処を持たない“ノラ猫”。
エサさえくれれば、ご主人様なんてのは、日によって変わる。」
“ノラ猫”…。
確かに、飄々としていて、気まぐれなジンさんは“猫”みたいだ。
…そこら辺で喧嘩するし。
俺は、ジンさんの背中を見つめて尋ねた。
「じゃあ…ラグナを助けに行くのは、今日のご主人様がたまたまラグナだったからなんですか…?」
ジンさんから、微かに動揺が感じられた。
俺の質問は、ジンさんの核心を突いたようで、彼はそのまま黙り、質問には答えてくれなかった。