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俺は、ジンさんと共に、都市外れの屋敷へと走り続けていた。


屋敷は、都市の城壁に隠れるようにして建っている洋館だ。


数年前から空き家となっていて、なんとなく幽霊が出そうな雰囲気なので

今では寄り付く者もいない。


ノラ猫たちの住処となっている。


すると、ジンさんが走りながら俺に尋ねた。



「なぁ…。一つ聞いていいか?」


「なんですか?」



ジンさんは、俺の少し前を走りながら口を開いた。



「屋敷にはリベリオンの残党が山ほど居るだろう。命の危険があるかもしれない。

どうして、ラグナのためにそこまで出来るんだ?

……やっぱり、惚れてる女だからか?」



どきん。



俺は、ジンさんの言葉に少し動揺した。


しかし、俺は少しの沈黙の後、口を開いた。



「…好きだからっていうのも、もちろんありますけど…。

俺は、ラグナの“犬”だから。

ご主人様には、一生忠実なんですよ。」