「…どうして……ここに……?」
私が尋ねると、ゼロは私をまっすぐに見て答えた。
「フィオネ、ジェノバさんの墓まいり、したいだろうなと思ったからさ。
…旅に出る前に寄っておこうと思って。」
!
私は、その言葉を聞いて胸が熱くなった。
ゼロ………気づいててくれたんだ。
私が、ジェノバのお墓に花を供えたいって思ってること。
ゼロは、不死鳥を軽く撫でて、ささやく。
「ここまで運んでくれてありがとな。
アサギにも礼を伝えてくれ。」
その言葉に、不死鳥は、ゼロをまっすぐ見つめて、喉を鳴らすと
大きな翼を広げて、空へと舞い上がった。
大きなシルエットが、月に照らされて幻想的に羽が光る。
私は、その姿を小さく遠ざかるまで見送る。
……また…ここに来れた。
ありがとう…アサギさん。
私が心の中でそう呟くと、ゼロが私の方を見て言った。
「じゃあ、今日はジェノバさんの家に泊まらせてもらおうか。
……久しぶりにあの、“大きな鍋”を使って、夕飯を作ろう。」
私は、ゼロの言葉に、涙腺が緩んだ。
“大きな鍋”は、私とジェノバが二人で使うには大きすぎて、ゼロが来て、初めて使った思い出の鍋だ。
………心が、あったかいな…。
私は、ゼロと手を繋いで、半年ぶりに故郷の家の扉を開けたのだった。


