すると、ゴリーが辺りをきょろきょろと
見回して言った。





「そういえば、アサギさんはどうしたんだ?

姿が見えないけど…。」





すると、ゼロが静かに答える。





「アサギさんは町の奥の屋敷に行ったよ。

……まだオーガの魔法を解いてあげれてない大切な子がいるんだって言ってた。」





“魔法を解いてあげれてない大切な子”…?






私は、それを聞いて、はっ、とした。





……もしかして……それって…。





ゴリーも、同じことを考えたようで、私とゼロに向かって言った。






「俺は、このままオーガを都市まで連行するから、お前たちはアサギさんの屋敷に向かえよ。


……きっと、“二人とも”そこにいると思うから。」






私とゼロは、無言で頷くと、気を失ってぐったりとしているオーガを抱えながら瞬間移動魔法を使うゴリーを見送った。






……これでアサギさんに会って、無事にすべてが解決したら、ついに私たちの旅が再開できるんだ。






私は、ゼロのコートをぎゅっ、と握った。





もう、決して離れない。





そう、心に強く誓って、私はゼロとともに、華の町の奥へと歩き出したのだった。