「ゼロ!お願い!こっちを見て!!
私はここにいるの!あなたの近くに!」
何度叫んでも、私の声はゼロには届かない。
こんなに近くにいるのに。
手を伸ばせば、届く距離にいるのに。
つぅ…、と涙が頬につたった。
ゼロ………
お願い……私に気づいて
その時、オーガがゼロに向かって言った。
「あの女はこの町のどこかにいるはずだ。
探してみろ。……お前の力で。
もし、その存在に気づけたなら、女の魔法は解いてやる。」
!
存在に気づけたなら、私の魔法は解ける…?
ゼロも、その言葉を聞いて、目を見開いた。
「……くそ……!どこにいるんだ、フィオネ…!」
ゼロが、拳を握りしめて、弱々しく呟いた。
ゼロ…!私はここにいるの!
ここにいるんだよ……!
この感覚は、あの頃と一緒だ。
私がゼロに出会う前の
誰も私を“ただの盗人”としか思わなかった時と、同じ。
誰も、私を見ようとしなかった
あの時と同じだ。


