頭の中は、フィオネのことだけでいっぱいだった。
フィオネは、俺がほっとくとすぐに無茶をしでかす。
なんの力も、魔力も持たない人間だったのに俺の力になりたい、なんて言って一人で魔獣に挑んだ時もあった。
ただ、守られているだけの相棒なんて、相棒じゃないと。
彼女はそういうやつだった。
俺が元の体に戻れたのも、全部フィオネのおかげだ。
フィオネだけは、俺の側から離れさせるわけにはいかない!
俺は、最後の刃を避けきると、オーガの懐めがけて殴りつけた。
「…ぅっ…!!」
オーガが小さく息を吐く。
これで気を失ってくれれば……!
俺がそう思ったその時
オーガが、ちゃんとみぞおちに入ったはずの俺の腕をガッ!と掴んだ。
!
な…………!
「効かないな………
“今のお前の”拳なんて。」
「…!」