《ゼロside》




「フィオネ!!」




なんだ…?何が起こったんだ?!



オーガがいきなり瞳を輝かせたと思ったら、それを見たフィオネが意識を失って倒れたなんて……。





俺が名前を呼びかけても、反応すらしない。





くそ……!




こうなったら、フィオネを力ずくで取り返すしかねぇ。






俺は、オーガに向かって殴りかかる。






さっきみたいにやれば大丈夫だ。




奴の隙を見計らって、一気にみぞおちに拳を喰らわせる!





オーガは、俺の戦闘態勢を見て、ふぅ、と息を吐くと


魔法で作り出した漆黒の刃を俺めがけて放出した。





俺は刃の流れを読んで、その攻撃をかわす。



スレスレのところを鋭い刃が通過していく。






「……っ!」






頬に少しかすっただけで、血が出てきた。



……当たると八つ裂きってか…?







俺は、それでも足を止めない。








……フィオネは







フィオネだけは。









他の奴に渡すわけにはいかない。











あの子だけは………!