「ゼロ!!!!」
叫ぶ私の声は、イバラに包まれているゼロには届かない。
………私のせいだ
私を庇ったせいで、ゼロは………!
いつもそうだ。
私が肝心な時に動けないから、ゼロが私を守って怪我をする。
………私はゼロに守ってもらってばっかりだ……!
すると、ゼロを包んでいたイバラが脈を打って、シュルリ、と解ける。
ドサ、と落ちたゼロの姿に、私は一瞬息が止まった。
!
「……ゼロ………!!」
目の前に倒れているゼロは
私のよく知っている“あの”ゼロだった。
言葉を失う私の前で、ゼロは頭を押さえながらゆっくりと立ち上がり
瞑っていた瞳を開ける。
「………!」
ゼロは、自身の手のひらを見て、停止した。
その瞳は、驚きと、深い絶望を宿している。
「……なんで………この“姿”なんだよ…!」
それは、私が今までずっと共に旅をしてきた“少年の姿”のゼロだった。