すると、そう呟いた次の瞬間







ゼロが一気にオーガとの間合いを詰めた。






そして、ドッ、と力強くオーガのみぞおちを殴る。






不意を突かれたオーガは、苦しそうに息をして、一瞬よろめく。















ゴリーも、その様子に目を見開く。









ゼロが、今まで部屋の中を走り回っていたのは、ただ逃げていたからだけじゃない。






オーガが私から離れることを待って、
攻撃のチャンスをうかがってたんだ。








………すごい………。






本当に素手で戦えちゃうなんて………!









その時、オーガが、殴られた所を手で押さえながら、ゼロを睨んだ。







「……許さん………許さんぞ……!




こうなったら、本気で魔法をかけてやる!」







すると、ばっ、とこちらを振り向いたオーガは、私に向かって腕を突き出した。



















まさか………?!










私は、オーガの放つ黒い気配に、体が囚われた。









「フィオネ!!!」








その時、オーガが私に向かって黒いイバラを放出した。





その呪いの蔦は、私に向かって真っ直ぐ伸びる。















やられる………!







そう思った時、ゼロが私の前に飛び出した。








「!………ゼ ロ……………!!」







私が彼の名前を呼んだ瞬間






ゼロは黒いイバラに一瞬で包まれた。