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「…遅いな……。
オーガは見つからなかったのか…?」
ゼロが出て行ってから一時間。
ゴリーが、ゼロの出て行った障子を見つめながら言った。
……確かに、ちょっと店の中を見てくると言ったにしては、時間がかかり過ぎている。
………何かあったのかな…。
私が心配してそわそわしていると、やがて廊下が何やら騒がしいことに気がついた。
「何だ?ゼロか?」
「…いや、ヤツの声ではない。
ただの酔っ払いが、騒いでいるのかもしれん。」
ゴリーの言葉に、ホノが答える。
障子を隔てた部屋の外からは、何やら言い争っている男性のものらしき声が聞こえる。
ホノは、「酔っ払いの喧嘩はよくある。」と特に気に留める様子もなく窓の外を眺めている。
私も、ゼロのことだけを考えながら、その争いの声を気にしないでいたが
やがてその声はだんだん大きくなってくる。
「ここで一番上玉の女を出せ、と言っているんだ!
この店に入っていくのを見かけたぞ?
早くその女を連れてこい!」
「ですから、ここの遊女はさっきの女たちで全員でございます。
お客様のおっしゃる女はここにはおりません!」
……お客と店の主人がもめてるのかな?
騒がしい声が、私たちの部屋に響いて
二つの影が、部屋の障子に映っている。



