…十三年も?
すると、ホノは、小さく息を吐いて俯いた。
少し小さい声で答える。
「私は、アサギ様に拾われた身だ。
だから…アサギ様には、恩を返す為に忠誠を誓うだけでいいんだ。
それ以外の感情なんて、罪でしかない。」
ホノは、くるり、と背を向けると、再び町中へと歩いていく。
“拾われた”…?
私が驚いてホノの後ろ姿を見ていると、
隣に来たゼロが言った。
「ホノは七歳の頃、遊郭に捨てられたんだ。
それを、アサギが保護して、それからは一緒に暮らしてるらしい。」
そうなんだ……。
その時、私の心の中に、忘れかけていた感情が湧いてきた。
そうだ……。
私も、五歳の時にジェノバに拾われた身だ。
恩を返す為、忠誠を誓う……か…。
何だか…昔の私を見ているみたい。
ゼロと、出会う前の私を……。
「おい、くだらないこと言ってると置いて行くぞ。」
ホノが、私たちの方を向いて言った。
私とゼロは、急いで彼女の隣に並んだ。
ホノの銀の鈴の簪が、ちりん、と鳴った。



