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私たちは、提灯が照らす妖美な町を
ホノに続いて奥へと進んでいく。



灯りが漏れる障子から、ちら、と美しい女性たちが見える。




初めて来る場所で、いろいろ興味がないわけではないけど



……なんか居心地悪いなぁ…。




するとその時、先頭のホノがぴた、と立ち止まった。




「どうした?」



ゼロが尋ねると、ホノは前方を睨んで答える




「猫だ。」





猫…?



ホノの視線の先を見ると、黒猫が遊郭の道を歩いている。




「猫がどうかしたのか?」




ゴリーが尋ねると、ホノは猫めがけて腕を突き出して言った。




「この町は猫が入れないように、アサギ様が結界を張っているんだ。

…オーガがこの町で魔法を使いまくってアサギ様の魔法を乱したせいで、結界の隙間から猫が入り込んだようだ。」




ホノは、すっ、と瞳を輝かせた。


と、次の瞬間、目の前の猫が消える。




「…!…消しちゃったんですか…?」




私が尋ねると、ホノは首を振って答える。



「瞬間移動で町の外に出したんだ。


…アサギ様は猫が苦手だから…。」