ゼロは、ホノの言葉に頷いて、そして尋ねた




「町のトラブルって、オーガのことか?」



「あぁ。奴め、アサギ様の許可もなくこの町で魔法を大量に使って、暴れまわってるようだ。


…自分の思い通りにならない奴に、片っ端から魔法をかけているらしい。」




ホノの言葉に、私はゼロに尋ねた。




「この町で魔法を使うためには、アサギさんの許可がいるの?」




その問いに、ゼロは頷いて答える。




「ここは、アサギの作った“魔法がなくても夢が見られる町”なんだ。


魔法を使わないのがこの町のルール。


ここで唯一魔法を使うことが許されているのは、この町のトップのアサギと、警守のホノだけだよ。」





そうなんだ…!



魔法がなくても、夢が見られる町って
なんだかすごいな…。




すると、ホノが私たちに向かって言った。



「私もオーガ探しに追われているんだが……お前たちをアサギ様の屋敷に案内するぐらいなら出来る。


…会いたいならついて来な。」




私たちはホノの言葉に、すっ、と立ち上がった。




ホノは、くるり、と背を向けると
部屋の外に出て、素早く廊下を進んでいく。




「この調子なら、スムーズにアサギの力を借りられるかもな。」




そう言って笑ったゼロに、私は「そうだね。」と笑いかえした。



その時、建物を出た私たちを、見つめる鋭い視線に



誰も気付くことはなかったんだ。