なぁ、カトレア。


お前の目に、俺はどう映っているんだろうか


頼りがいのある、大人の男に見えているんだろうか?


それとも、心を傷つけて、約束を果たさない最低な男に見えているのかな?


…そうだとしても、俺は反論なんかしない。


今まで、カトレアを騙し続けていた償いに、今度こそ、俺が君を幸せにする。


悲しませてきた代償に、俺の体も、心も全部やる。


だから、カトレア。

いつまでも俺の近くで笑っていてくれ。


距離が離れて、側にいることが難しくても、心だけはいつも同じ場所にあってくれ。


俺は、ぎゅっ、と彼女を抱きしめた。


ぎこちなかった動きも、“触れたい想い”が強くなるにつれて柔らかくなる。



「いつでも、私はこの町にいますからね」



カトレアの言葉に、俺は無言で頷いた。


その時、部屋の窓の隙間から、願いの町らしい爽やかな風が流れ込んで

俺たちを優しく包んだのだった。




*第3章・完*